安全と安心をお届けするために、当社には様々な試験機・検査機があります。
今回はコントレーサーにスポットを当てて、何ができるか、当社ではどのように使っているかをご紹介します。
コントレーサー【輪郭形状測定器】(CV-2100)
【メーカー】株式会社ミツトヨ
コントレーサー(輪郭形状測定機)は測定物の表面の面粗度や突起などの形状を可視化することに特化した計測機器です。
コントレーサーには左から右へ横軸方向へ動くアームがあり、その左先端部にある針(以下スタイラス)が測定物をなぞると、スタイラスが拾った微妙な形状の”振れ”をモニター上へ映し出すことで簡単・時短・正確な測定ができます。
測定物が測定距離で横の長さが約10cm、奥行きはバイスの挟める約10cm、高さはアームとスタイラスの可動範囲である±3cm程の大きさであれば、質量はを気にすることなく測定が可能です。
また形状測定したデータは編集・実寸計測することができ、測定物の肌の状態の観察はもとより、ねじの場合は「ねじの角度」、「ピッチ」、「下穴の面取り角度」など形状に応じた計測が可能です。
先端のスタイラスを交換することで、下穴径と谷径の差の大きいナットや外径と谷径の大きなボルトなど、スタイラスと測定物の段差が大きい=干渉により測定が困難なものまで、測定できるようになります。
綿密な測定を行いたい場合はスタイラスが移動する速度を落とすことで”スタイラスの飛び”を防止することができます。
ミツトヨ製コントレーサーは専用ソフトを使用しますが、一般的なPCに取り込む場合はファイル拡張子の関係でデータを読み込むことができないため、PDFに変換することで汎用性を高めています。
次に測定する手順を紹介します。
パターン① U-ナットのねじ通りが悪く、ねじの形状を確認したい場合
検査時にゲージ(6H)が通りにくいナットがあった場合、非破壊でねじの形状(ねじ山の角度やピッチ)の測定が可能なため本機を用いた検証を行います。
今回は、サンプルとして、U-NUT M12×1.75 SUSを測定してみます。
1.本機を立ち上げ、バイスにナットをスタイラスの軸方向に取り付ける
2.アームのスタイラスが可動域内であることを確認し、測定物の上方にキープする
3.ナットにスタイラスを通過させ、スタイラスを測定物の始点まで下ろしてあてがう
4.スタートボタンで測定を始める
5.スタイラスをあげ、データを保管する
6.測定したい部分(ねじ山の角度やピッチ)の測定を行う
結果:U-NUT M12×1.75 SUSのねじ山角度はそれぞれ66°、65°、66°、65°、ピッチは1.74㎜、1.77㎜、1.76㎜の測定結果となり、ねじ形状に問題ないことが判明しました。
パターン② フランジU-ナットの座面のテーパー角度(円すい角度φ)の確認をしたい場合
フランジナットの座面には目でわかりにくいテーパー角度が付いていることがあり、JISの規格にも定められていることから本機を用いて測定します。
今回はサンプルとして、フランジU-NUT M12×1.75 SUSを測定してみます。
1.スタイラスで測定を行うフランジ面にマーカを引く
2.フランジ側を上面にしてマーカの向きを確認しバイスに取り付ける
3.アームのスタイラスが可動域内である事を確認し、測定物を上方にキープする
4.フランジ端部にスタイラスを下ろしあてがう
5.スタートボタンを押し測定をする。このとき中心の下穴の部分は測定せずスタイラスのみ送り、もう一方側を再度計測する
6.スタイラスをあげ、データを保存する
7.右側左側のそれぞれの最高点と最低点、右側左側の最高点同士を結び交点ができることを確認する
8.右側左側の交点の部分より角度を測定する
結果:フランジU-NUT M12×1.75 SUSの座面のテーパー角度(円すい角度φ)が0.14°の測定結果となり既定の範囲内
(JIS B 1190 0.75°±0.75°)であることを確認しました。
ご紹介した測定例は一例です。お客様が使用しているナット、ボルトで確認が必要な案件があれば、
冨士精密で所有する様々な試験機・測定器で検証を行い対応することも可能です。
何かございましたら、お問い合わせフォームよりご相談ください。